PHASE 10「父の呪縛」

●「 追跡行 → コロニー落下 → 戦争開始 → 地球軍一時撤退 」までの一連の流れの中で、時間的・空間的な関係がはっきりしないため、どうもすっきりとしない。
 「追跡行→コロニー落下」の間にはミネルバの修理期間、「コロニー落下→戦争開始」の間には災害からの復興や物資の集積などの準備期間が、それぞれ必要なはずであるがそれらを感じさせるような描写はない。ミネルバも、途中の描写が一切ないまま、オーブに到着している。
 また、各コロニーや戦闘宙域の位置関係が見えてこないため、作品中の大きなイベントとしてのコロニー落としも前回の戦闘も、現実感の薄いものとなってしまっている。
 今回の描写では、ザフト側の防御による地球連邦側の核ミサイルや艦艇の大量破壊の様子が地球からかなり広い視野角で見えていたので、かなり地球に近い所での戦闘であったように見える。ところが、その後のシーンでは、地球連邦軍が月面の基地に撤退したとのことである。
 ということは、戦闘のあった宙域は月よりもかなり遠かったのか?
 ならば、ザフトのニュートロン・スタンピーダー*1がとんでもない超射程の兵器であり、連邦側の艦艇やモビルスーツ・核ミサイルもかなり広い範囲に存在したことになる。どのくらいの広さの空間に対してどれほどのエネルギーが働いたことになるのか、想像できない。
 このような点での整合性は、しっかりと考えてほしい。


 今回の主人公は、完全にデュランダル議長だった。
 自分は平和主義者であるように主張して、アスラン・ザラセイバーガンダムを与え、第3勢力としての活動を要請していたが、額面通りに受け取ることはできないだろう。*2
 ラクス・クラインの替え玉をつくり、大衆の世論操作を行う点も、いつ好戦的な方向へ誘導して行くか予断を許さない。


 ミーア・キャンベルラクス・クラインのクローンかと思っていたら、声が似ていた人物の整形だったと判明した。
 公式にはラクスとして振る舞い、マスコミへの露出も多いようであるが、前作のラクスの行動*3に対して、何も問題はなかったのだろうか?
 明らかに、不幸な結末が待っていそうなキャラクターではある。


 疑問:ミーア・キャンベルラクス・クラインとして活動をしていたのはいつからか?
 シン・アスカが地球でラクスに会った時、彼はまったく反応しなかった。その時は、ラクスが歌姫として活動していた時期には彼はオーブにいて、戦後彼がザフトに移った時には彼女が地球に、と入れ違いになったために知らなかったと考えていた。
 しかし今回の描写では、かなり長い間マスコミに露出していたような感じを受ける。シン・アスカザフトにおけるラクス・クラインという存在を知らなかったと考えることには、無理がありすぎるように思える。*4
 シン・アスカがまったくの朴念仁で、芸能界に全く興味・関心を持っていなかったと言うこともあるか。*5

*1:核反応を強制的に臨界に達しさせ、核爆弾や原子炉を暴走・爆発させるというような装置か?

*2:水中戦用の機体を開発させている時点で、明らかに地球上での戦闘行為を想定していたと考えられる。

*3:反政府ゲリラとして多くの兵士を扇動し、最新鋭のモビルスーツと戦艦を強奪したこと。

*4:冒頭に書いたように、作中でかなりの時間経過があったとすれば、ミネルバザフトを離れた後で、活動を開始したと言う線もあるが...

*5:死んだ妹のことで頭が一杯だったのかも...